イオンの電子配置
「イオンの電子配置」と言われたら、
原子番号が1番近い貴ガス(希ガス)と同じと覚えておいてください。(詳しい理由は下の
補足へ。)
Point!
イオンの電子配置 は、
原子番号が1番近い
貴ガス(希ガス)と同じ
貴ガス(希ガス)とは、次の6つでしたね。
He(ヘリウム)、
Ne(ネオン)、
Ar(アルゴン)、
Kr(クリプトン)、
Xe(キセノン)、
Rn(ラドン)
解説:
上の
Point!でやったように、
イオンになった時の電子配置は、原子番号が1番近い貴ガス(希ガス)と同じになります。
この問題に出てきたフッ素Fの原子番号は9番なので、原子番号が一番近い貴ガス(希ガス)は10番のネオンNeです。したがって、フッ素FがイオンになったF
-は
Neと同じ電子配置です。
【補足】イオンのでき方
では、なぜ「
イオンになった時の電子配置は、原子番号が1番近い貴ガス(希ガス)と同じ」になるのでしょうか。
それは、イオンになる前の元の状態の電子配置をみればわかります。例題のフッ素Fの電子配置は下の図のようになります。(電子配置についての詳しい説明は
こちら)
右上にあと1つ電子をもってくれば、ちょうど、キリの良いきれいな電子配置になりますね。そこで電子をあと1つ外部からもらってきて、きれいな電子配置になろうとします。
電子を1つもらうと電子数は10個になるので、原子番号10番のNeと同じ電子配置となるわけです。
(※
電子の数=原子番号なので、もとから電子を10個持っている原子は原子番号10番のNeです。)

「
キリの良いきれいな電子配置」というのは、具体的には、
最外殻に最大数の電子が入った状態、または、
最外殻電子が8個の状態のことです。
そして、この条件を満たすのが
貴ガス(希ガス)なのです。
Ne以外の貴ガス(希ガス)も下の図のように、キリの良いきれいな電子配置をしています。 そのため、
どの原子もイオンになる時には、自分に1番近い貴ガス(希ガス)と同じ電子配置になれるように、電子の数を調整するのです。
貴ガス(希ガス)がみんなの憧れで、みんながそれぞれ、自分に一番近い貴ガス(希ガス)を目指すというイメージです。

フッ素Fの場合はイオンになる時に外部から電子をもらってきましたが、その逆で、
外部に電子を渡してイオンになるものもあります。
それは、ナトリウムNaのように、
貴ガス(希ガス)よりも電子が少し多い場合です。
Naは原子番号が11番なので、電子を11個もっています。電子配置は、下の図のように、最外殻に1つだけ電子があり、キリが良いとは言えません。

原子番号11番のNaに1番近い貴ガス(希ガス)は原子番号10番のNeです。

原子番号=電子数ですので、Na(原子番号11)がNe(原子番号10)と同じ電子配置になるためには、電子を1つ外部に置いてくる必要があります。こうすることで、Neと同じ、きれいな配置になります。